2004年5月 好久不見 

 

 

5月2日(日)

 

 いよいよ、久々のARKライブの日。

バンドとのリハーサルが、今日の午後にわずか一回。夜は本番、という強行スケジュール。現地に入ると、旦那のシャオマも久々、ということもあって、懐かしいミュージシャン達との挨拶が続いた。みんな、変わっていない。本当に気持ちよく迎えてくれた。今は、ARKでやっていないドラムのアー・ミンが、わざわざこの日の為に、予定を空けてくれていた。アー・ミンは今、ジャズの仕事で忙しくしていて、こちらにはしばらく出ていない。現在のARKのドラマーは、彼のお弟子さんである。彼も中々素敵なのだが、もちろんアー・ミンだと安心感が違う。私達が上海入りする前に、彼らだけで一度合わせてくれていたらしい。これにもびっくりした。

彼らは多忙なので、余分にリハをするなんて、めったに無い事だからだ。丁寧に取り組んでくれていることに心から感謝。公演タイトルは「好久不見(久しぶりです)」

夜、本番前に雲南路に食事に行く。お、めずらしい、この店にはこんなん置いてるの?と、シャオマが何やら注文。出てきたものを見て、日頃はチャレンジャーの我々だが、躊躇している。ぢっぢ「マーさん、これ、何でしょう?」シャオマ「これ?蝉とサソリのから揚げ。栄養あるよ。(パクッ)」!!かなりゲテな形をしている。しかしまずぢっぢ、挑戦!パクッ!食した後で、ぢっぢが私にも勧めて来た。くるまった格好のセミカラをつまんで「食べて食べてって見つめてるよ、ほれ。」うう~。蝉はまんまなのできびしい~。サソリを食べてみる。あまり現物を知らないので、セミに比べるとまだ抵抗は少ない。パクッ。ヲヲ~。かなり濃いニオイ。いつまでも口に残る~。

 

 

5月3日(月)

 

 ライブは大大盛況!座れないお客さんもたくさん。席に着けた人も、ライブ直後には、すぐ店を出なきゃならないくらい、だったそうで、私がご挨拶に出向いた時には既に居られなかったりした。メニュー的にもやはり成功だった。テレサの歌は、老若男女が口ずさむ。昨年、偶然にも同じ年に亡くなったレスリー・チャン、アニタ・ムイ。個人的にも親しかったという二人が、香港に、大陸に広めた百恵女史のナンバー。どれも、客席が喜んで受け止めてくれているのが分かる。もちろん、オリジナルも。今回は、トップに持って来た。

 

 

5月4日(火)

 

 恵蓮ぢっぢが帰国。ぢっぢ、ありがとな。

 

 

5月10日(月)

 

 ARKのミュージシャンの中で、シャオマが一番親しくしている、ベースのシャオ・ミン宅へ遊びに行く。奥様が、妊娠3ヶ月になられる、というので、少し、赤ちゃん用品を手土産に出かけて行った。明るい時間に出かけていったが、夕食後にドラムのアー・ミンもやって来て、上海の音楽話に夜中まで花が咲いた。彼ら界隈の情報量はすごい。日本のあるタレントのアルバムを出して来て、「歌はまずいけど、バックがすごくいいんだよ。」とさらりと言うが、私など、その人がCDを出しているということさえ知らなかった。シャオ・ミンがアメリカから取り寄せた、という音楽雑誌をパラパラ開くと、私がよ~く知っている友人ミュージシャンの取材記事が載っていて、これまたびっくり。もちろん日本では有名な人だが、なんだか鼻たかだか(笑)。

上海のミュージシャンは、日本の事情にももちろん詳しいが、彼らのモダンジャズの話になると、もう私はついて行けない。市内で活躍するトップランクのプレイヤーや、音楽学院の優秀な学生などは、どのジャンルよりもジャズに傾倒しているのだそうである。中国の他の大都市には少ない特徴。やはり外国モノに敏感な街である。

 

 

5月11日(火)

 

 久々に、宝宝会(乳児の会)に出る。1年ほどメンバーの皆さんとはご無沙汰で、それぞれお子様が大きくなられていて感激した。中国人の旦那様を持ち、上海で生活する日本人の奥様、というシステムの老婆会(奥様会)。この会の中で形成される宝宝会だが、会の皆さんは、海外での育児と主婦生活で苦労もされているし、また優雅な息抜きも上手に知っていて、話題が豊富で楽しい。お子を遠慮なく連れて行ける場でもあり、すっかり楽しんだ。大阪の保育園では、かなりの主張力を持っているらしい我が娘。ここでもすぐに馴染んでマイペース。あまり「ママ、ママ」とは来ない人である。他のママさんは「楽ね~。」と。でもウチに帰ると反動がすごかったりする。

 

 

5月12日(水)

 

 新天地近くの美容院へ。前回髪を切ったのはいつだったか。昨年7月にライブで東京に行った時、在京時代にお世話になっていた表参道のサロン、クレアさんに久々に行った。それ以来である。なので10ヶ月ぶり?子育てがあると、美容院に行く時間は中々取れない。さて、行ってみると、懐かしや、上海システム。席に座ると、まず値段表を見せてくれる。髪型設計師(ヘアアーティスト)によってカット料金が違ってくるので、コースを選ぶ。

●髪形設計師(おそらく標準の、ということだろう) 88元

●高級 120元

●特級 150元

●創意 180元

●外国籍 220元

となっていた。外国人設計師が一番高いところが上海らしい。今回は特級(150元=約2250円ナリ)を選んだ。コースが決まると、いきなりその場でシャンプー液を頭にぬりぬりっ!上手に液が垂れない様に洗っていく。ゆすぐ段階で初めてシャンプー台へ。上海の人は、外国人にもどんどん話しかけてくる(見習おう日本人!)こちらが分かるかどうか、などは気にしないで、どんどん中国語で質問が来る。おかげで、すっかり漢語会話が練習出来る。

 

 

5月13日(木)

 

 せっかく長い事上海にいるので、近場へ日帰り旅行。

上海から列車で1時間半、太湖のほとり~無錫の街へ♪。シャオマの幼なじみ、上海大劇院のヤンさんに、連れて行ってもらう。無錫は、ヤンさんの故郷なのだそうだ。名物の泥人形がかわいい!蘇州もそうだが、ここらの料理は甘い!!小龍包が、あ、あまい~。ちょっとショック。日本人がなぜか無錫をよく知っているので、地元の人も不思議なのだとか。尾形大作さんの力ですね~。

 

 

5月15日(土)

 

 上海ウォーカー・在上海日本総領事館主催の「東瀛風情日(ジャパンフェア)」に出演。新天地ARKにて。2,3日と同じメニューを歌う。

中国の人は、とっても子供好き。ARKに子を連れて行くと、もう大変である。店に入るなり、レジの女性が、誰に教えてもらったのか、子の名を日本語の“ちゃん”付けで呼ぶ。別の女性スタッフが来て慣れた手つきで子を抱っこして、どこかに連れて行く。しばらく見ないと思ったら、調理室でポテトを揚げてもらってたり、ある時は化粧室でウェイトレス達のアイドルとなっていた。店長のワンさんも、抱っこ。今日出演する歌手もやってきて、自分の本番ギリギリまで抱っこ。ライブに子連れで大変かと思っていたが、みんなで変わりばんこに面倒を見てくれる。子は、今回のライブで、歌終わりに必ず拍手する、という技を覚えた。

 

 

5月16日(日)

 

 新天地ARKで行われた「ジャパンフェア」の打ち上げイベントパーティーに参加。この日は『ワンニー、プルンニー』『高波』の2曲を歌う。後援名義でお世話になった領事館の方々にお会い出来、また、たくさんの思わぬ出逢いがあった。最初はワケが分からぬ状態で参加したパーティーだったが(笑)、呼んで頂いて本当によかった。

 

 

5月17日(月)

 

 金陵東路の楽器店街で譜面やなんかを見た後、レストランがひしめき合う雲南通りの小紹興本店に出かけ、上海の人気料理、三黄鶏(サンホアンジ)を食べる。やはり本場はうまい!三黄鶏は、分かりやすく言えば蒸し鶏。ツケダレが美味。ここは聞きしに勝る人気店で、恵蓮ぢっぢがいる間にも来たが、ずいぶん人が並んでいたので諦めたのだ。う~ん、青島ビールとよく合う~。

ぢっぢ、すまんなぁ。夜は、シャオマの親友、ウーさん宅にて夕食。向かう途中のタクシーにてびっくり。もうすぐウーさん宅に到着、といった頃、運転手が急に「あ」といって車を停めた。降りて何やらごそごそしている。「何ごと?」とシャオマが後部座席から聞くと「パンクしたんでさぁ。」と、なんとタイヤ交換していた。ものの数分で交換し終わった。すばやいのにびっくり。そんなタイヤで営業しておるのにもびっくり。ううむ。日本じゃ出遭えぬ光景だ。ウーさんの奥様は、本当にお料理上手!なんでも美味しい!ウーさんは、日本で仕事をした経験があり、日本のCDをたくさん持っている。いろいろかけておもてなしして下さった。

 

 

5月18日(火)

 

 ゆっくり出来た上海生活にも、今日でしばしお別れ。

ウーさんのクルマで上海浦東空港へ向かう。私と子が先に降り立ち、その足でシャオマは上海港(またしても船!)へ。私達二人の方は、あっという間に大阪。関空に降り立ったら、さすがにがっくり。久々の上海。本当に“行って良かった!”と思えた旅である。

 

 

※クリックすると拡大します。

やはりARKで歌うのは気持ちいい!

 

上海・新天地ARK、ジャパンフェアのポスター。写真に納めちゃいました!